もともとseesaaブログで始めた「怖い本」ですが、独自ドメイン「http://scarybookplus.com/」に移行しました。最近、スマホの広告がウザいとの共同制作者の移行でこのサイトの更新はストップしていますので、ぜひ本サイトへ遊びに来てください。こちらで更新していた内容も本サイトで更新予定です。

2016年12月31日

今年もありがとうございました

なんとなく始めた当ブログですが、あっという間に3週間が経ちました。

こんな不完全なブログですが、ご覧頂きありがとうございました。

どこまで続けられるか分かりませんが、また来年も「怖い本」を紹介できればとお思います。

新年は1月3日くらいから更新予定です。

よいお年を!


posted by 北川商店 at 09:56| Comment(0) | お知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

人体模型の夜 (中島らも/集英社文庫)



・ユーモアのある作風が特徴のホラー短編集

・豊富なアイデアで読んでいて飽きない

・オチが滑ることもあるが、よくできた話も多い

・おススメ度:★★★★☆


人体のパーツをテーマに18の短編を集めホラー短編集。住人が誰も働かない南国の楽園の恐ろしい秘密を描く「セルフィネの血」、趣味が盗聴でその為に引っ越しを繰り返す男が遭遇した恐怖の体験「耳飢え」、金利で生活している暇人の<人面瘡>評論家が関わってしまったある男とのやり取りを描く「膝」等々、バラエティ豊かな内容となっている。

本作が通り一遍の短編集と違うのは、単純に恐怖を狙って書かれているものばかりではなく、どこかユーモアがあるところだろう。現代的な正統派怪談である上記の「耳飢え」以外にも、時に幻想的に、時にバカバカしく思えるエピソードが楽しめるのは中島らもならでは。一見突飛な設定でも「そんなこともあるかも」と思わされるのは、著者の波乱万丈な人生経験から生まれたものと思われる。

きちんとオチが付けられているのも、体験談を集めた怪談集とは一味違うところだ。短いエピソードも多いので、最初は物足りなく感じるかもしれないが、読み進めるにつれ、先が気になって止まらなくなる。ただし、グロテスクな描写も多いので、その辺は注意が必要だ。

個人的には最後の一行が素晴らしい「貴子の胃袋」のエピソードがお気に入り。ぜひ、過激な環境保護団体のメンバーに読ませてやりたい。

人体模型の夜 (集英社文庫)
人体模型の夜 [ 中島らも ]
ラベル:中島らも 短編集
posted by 北川商店 at 09:51| Comment(0) | ★★★★☆ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月30日

魔界水滸伝(栗本薫/小学館)



・クトゥルー神話をモチーフにした壮大な伝奇小説

・ホラー要素もあるが能力バトル物としても楽しめる

・古さはあるが面白さは一級品

おススメ度:★★★★☆

今でこそラヴクラフトのクトゥルー神話を扱った小説や漫画は多く存在するが、この作品が発表された1981
年では、クトゥルー神話の二次創作的作品の先駆的作品だった。私は当時、この作品でインスマウスやナイアルラトホテップなどの名前を初めて知った。

物語の構図としては、水滸伝のタイトル通り、特殊な能力を持った古来の神々が集結し、侵略者であるクトゥルーの神々と戦うというものである。外伝を除くと文庫本で20冊もある作品であるが、神々が自らの能力に目覚め、異形の神々と戦うさまは王道中の王道といった展開で、絶対に楽しめるはずだ。特に前半の日常生活とクトゥルーの先兵が入り乱れて戦う様は当時かなりのめり込んだ。

残念ながら故人となってしまったが、著者の栗本薫は、デビュー当時は博覧強記の美人小説家という扱いで、知識の幅と量が桁違いで、やっていることは超能力対戦でも、大人も読める深さがある作品になっている。また、多作で知られミステリからファンタジーまで実に多くの代表作がある。その中でも、魔界水滸伝はかなり読みやすい方ではないだろうか。

ただ、栗本薫は、いまでいう「腐女子」の元祖的な存在でもあり、非常にボーイズラブ系の展開を好む。自分で自分の小説のボーイズラブ同人誌を作ったりもしていた。この作品も前半はいいのだが、後半はそういう要素がクローズアップされ、少々煩わしくもあった。とはいえ、未完となっている外伝を除けば、グインサーガほどの破綻もなく、最初の数巻が気に入れば最後まで楽しめるはずだ。もはや伝奇小説の「古典」と化したが、一読の価値は十分にあるだろう。

余談だが、当時の挿絵担当があの永井豪であり、独特且つダイナミックな絵柄が素晴らしかった。リンクに貼ってあるような味気ない表紙ではなく、良くも悪くも素晴らしいインパクトで個人的には表紙だけでも怖かった。もし、可能であれば元の挿絵で楽しんでもらいたい程である。

P+D BOOKS 魔界水滸伝 1
P+D BOOKS 魔界水滸伝 1【電子書籍】[ 栗本薫 ]

posted by 北川商店 at 09:32| Comment(0) | ★★★★☆ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする