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2017年02月11日

ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (スティーブン・キング/新潮文庫)




・「ショーシャンクの空に」の原作「刑務所のリタ・ヘイワース」を含む中編2本を収録

・映画の追体験に最適。ただし、ラストのニュアンスが微妙に違う

・もう一本の「ゴールデンボーイ」は割と地味なナチスものサスペンス。

おススメ度:★★★★☆

映画好きの方にはもはや紹介するまでもない大傑作「刑務所のリタ・ヘイワース」=「ショーシャンクの空に」の原作が収録されている一冊だ。タイトルが「ゴールデンボーイ」なのでややこしいが、つまり2本の中編が収録されているということだ。

まずは「刑務所のリタ・ヘイワース」。映画を観た方なら一目瞭然のあるアイテムの名前なのだが、一応、あらすじを簡単に説明すると妻殺しの冤罪で投獄された銀行家が刑務所で様々な経験を積み、最後には脱出を図るというもので、これだけでは凡百の脱獄もののようにしか思えないが、そこがスティーブン・キング。様々な印象的なエピソードと所々にある残酷描写で読み手を引き付ける感動作だ。

映画と比べてどうかと聞かれれば、ほんとんどそのまま。映画のシーンが目に浮かぶようだ。ただし、ラストシーンは微妙な差がある。個人的には映画のラストシーンは最高の名シーンだと思うので、ラストだけなら映画版が好みだ。この辺は一度読んで確認を。そういえば同じキングの映画「ミスト」も結末が大きく変わっていた。

もう一本の「ゴールデンボーイ」のあらすじは、13歳の少年が、偶然、近所に住む元ナチスの戦犯と思われる老人との交流を描くいわゆるナチスもの。上記の「刑務所のリタ・ヘイワース」に比べるとこちらは悲劇で、派手なシーンもないのだが、見所もあるので、続けて読んでみると面白いだろう。文庫版の分量でいえば、「刑務所のリタ・ヘイワース」は162ページ、328ページとなっており、「ゴールデンボーイ」の方が約2倍長い。タイトルが「ゴールデンボーイ」なのもその為かも知れない。

ちなみに副題が「恐怖の四季 春夏編」となっているが、秋冬編ももちろんあり、あの「スタンド・バイ・ミー」ともう一本の話が収められている。





ゴールデンボーイ改版 [ スティーヴン・キング ]






posted by 北川商店 at 08:00| ★★★★☆ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする