
・少年向けのオカルト話と呪いのリアルな方法の解説
・オカルト話のエピソードの内容は結構エグイ
・絶版本のため、新品では入手不可(今後もたぶん...)
おススメ度:★★★☆☆
絶版本を紹介してどうするんだ、という意見は承知しつつ、本棚で見つけた我が家では最古のオカルト関係の本。あんまり面白かったので紹介してみたい。
そもそも作者の中岡俊哉という人は、Wikipediaによると、ドキュメンタリー作家として「心霊現象を中心に、超能力、UFO、怪獣など超常現象全般を探求しつつ、世界各国を回った」とあるので、完全にその「筋」の人だ。1970年代のオカルトブームでは、テレビ出演もしていたらしいので結構有名人だったらしい。初版が昭和54年となっているので、私自身の記憶もあいまいだ。
オカルト話の内容は、例えば「呪者・ホムジャナ」というアメリカの呪者が、裏切られた義弟が憎いという依頼者の願いを聞いて、呪術のやり方を教える。最終的に義弟は呪い殺されるのだが、その過程で血の滴る蛇は食べさせるわ、背中を切り付けるわ、やりたい放題。最終的に義弟は5日後に原因不明で死ぬのだが、それ以上のオチはない。これがA6サイズの本に全編ルビ付きの大きい文字サイズで、半分くらいが昭和チックなイラスト。まさに小学生向けの「オカルト本」だ。他にも「オムツの呪術」だの、「魔女への入信式」だの、「死の呪いマクンバ」など、全てドキュメンタリータッチの同様の話が散りばめられている。
特筆すべきは、呪術のやり方が実際の呪文のイラスト付きで詳細に書かれていることだ。「対人関係を断つ人形」「毛髪で男を呪う」といったものから、「男女の絆を深める法」「伝染病から身を守る札」など、1ページがやり方、1ページがその実際の呪符という構成で紹介されている。やり方は、ほとんど呪文を自分で書いて唱える程度で、読んでると今でも実際にちょっとやってみたくなる。実は子供のころ実際にやってみた。結果は報告するまでもない。
全編作者は大真面目で、全力で「小学生の」恐怖をあおってくる。巻末には丁寧に「念力呪術の開発法・基本トレーニング」まで書かれている。これだけ、ネットが発達した時代、どこまでこの内容が通用するかは分からないが、その昭和チックな文章とイラストはむしろ不気味で、十分「効きそう」な気がする。もし、どこかの古本屋で見かけたらこっそり読んでみてはいかがだろうか。
ちなみに人を呪えば穴二つ。効かないと分かっていてもやらない方がいいと思っている。誰かを憎む気持ちこそ、すでに「自分が呪われている状態」ではないのだろうか。

