・セックス描写の多い、オカルト的サスペンス
・謎の理由が不可解
・内容と真逆の純愛もの
おススメ度:★★☆☆☆
お話の導入はありがちだが面白い。広告代理店に勤めている由紀恵という主人公は、都心に格安マンションがあること知って引っ越した。もちろんいわくつき。かつて、その部屋で女性が惨殺されたことがあったのだ。しかも、大矢ささんには「部屋に鏡を置かないこと」という忠告を受ける。しかし、女性として姿見がないのは不便なので、思わず買ってしまう。最初は何事もないと思っていたが、友達の女性が引っ越してきて……。
と、「姿見を置いてはいけない」→「置いてしまう」という、ホラー映画のテンプレートのような展開で、不幸が襲ってくる。まず、その点にあまり同情できない。更にセックスシーンが出てくるのだが、これがイマイチ、ピンとこない。その必然性とさらに言えば「あまりエロくない」と思うのだ。もちろん、ホラー小説なので、必要以上にエロティックである必要はないが、そんなに興奮するようなものでもないので、それが目的ならもっと別の小説を読んだ方がいい。
更に中盤、鏡の謎についての言及があるのだが、これが何とも不可解だ。話が飛び過ぎて、説得力がない。一応理由は書かれるが、鏡との関係性もはっきりしない。話のオチも同様だ。つまり、オカルト的な仕掛けもうまく機能していないように思える。
「ホラーXエロ要素」は、映画などでは定番なので、需要はあると思うのだが、どうも期待していたものと違うというのが私の感想だ。本の裏表紙には「感動の結末」と書かれているが、それはちょっと……。結局、怖さも、エロさも中途半端で何ともモヤモヤする一冊だった。
ちなみに、題名の「いきはよいよいかえりはこわい」は、有名な「通りゃんせ」の一説で、著作権が切れているようなので、全文掲載してみる
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通りゃんせ 通りゃんせ
ここはどこの 細道じゃ
天神さまの 細道じゃ
ちっと通して 下しゃんせ
御用のないもの 通しゃせぬ
この子の七つの お祝いに
お札を納めに まいります
行きはよいよい 帰りはこわい
こわいながらも
通りゃんせ 通りゃんせ
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作品のテーマだとは思うが、やっぱりイマイチしっくりこない。
※ちなみに今現在絶版で、古本で買うしかない。

