・様々な病気が人を殺すバイオSFホラー
・けっこうグロイので注意
・オチはイマイチだが、病気系ホラー好きにはいい本
おススメ度:★★★☆☆
(あらすじ)色んな奇病が発生する世界が舞台。人体を発火させるカビ、人間を人肉食にする病気、セックスで殺人鬼に変える謎のウイルス。人類はその病気達によって滅ぶのか、その病気をばらまいたのは誰なのか? 2000年初版だが、なかなか現代の状況を先取りしたバイオSFホラー。
と、聞くとすごく面白そうに見えると思うのだが、どうも印象に残っていない。設定というか、出だしというか、テーマは最高だ。グロ描写もあって、その手の残酷系ホラーが大好きな人は満足できんじゃないかと思う。私もこの出だしが良かったので、新書で買っている。
ざっと再読をしてみたところ、問題点は奇抜すぎる点と、オチが弱いところだと思う。全体的に文章も読みやすいし、凡作とはいえないが、傑作でもない。実際の病気をネタにすると、あまりシャレにならないが人体発火病とか、フィクションとして楽しく読める。
人種者別者の登場人物も出てきて、日本人を思い切り馬鹿にする。日本語を喋られないことを詰問すると、日本人をネズミ例えて、ネズミの言葉を人間が覚えるかね? と、切り返す。なかなか吹っ切れたいい描写だと思う。
昨今、人種差別が世の中を賑わせているが、個人が言う分にはケーベツする部分があっても、自由だと思う。嫌いだったら嫌いでいいじゃないか。私は音楽家のセルゲイ・ラフマニノフが大好きだが、彼が存命していた時代のソ連人は嫌いだ。アメリカの文化やジョブスやゲイツは好きだが、原爆を落とした国として今でも恨んでいる。その口でよく、核拡散防止なんて言えるな。盗人猛々しいとはこのことだろ?
それはともかく、本書は水準以上のグロさと面白さがある。万人向けではないので、星は3つだが、機会があったら読んでみたらいいと思える一冊。蛇足だが、現代日本は本当に「病の世紀」だな、と実感する。
(きうら)
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