・大自然の脅威や、不可視の霊威を感じ取れる怪異譚(かいいたん)
・読みごたえのある3つの中編
・クトゥルー(クトゥルフ)神話を知らなくても楽しめる
おススメ度:★★★★★
イギリスの怪奇作家、ブラックウッドの傑作集。表題作の「ウェンディゴ」では、四人の狩猟隊がカナダの森林で遭遇した怪異の顛末(てんまつ)がえがかれる。その怪異は自然の大いなる畏怖すべき力のあらわれのようなものか。取りつかれたものは、それと一体化しやがて衰弱死を迎えるという…。
陽が落ちた後の自然のおそろしさが圧倒的な恐怖とともにおしよせる。この〈ウェンディゴ〉とはクトゥルー神話での〈イタカ(Wiki)〉のことだという。東雅夫(Wiki)『クトゥルー神話事典』(学研)によると「北米原住民が畏怖する〈ウェンディゴ〉はイタカのことであるといわれる」とある。
2作目の「砂」では、エジプトに惹かれた主人公が、砂のもつ力に導かれる。かれはその地で一組の男女と出会う。二人はエジプトの力のもととなる霊身を召喚しようとしており、かれを儀式にひきいれようとする。かれはその誘いに抗いきれず…。
最後の「アーニィ卿の再生」は「ウェンディゴ」とも少し関わる一編。生気のない若者が、フランスの山奥に住まう山の民が崇拝する火の魔力と、かれらの熱狂にあてられ、やがて若者自身が熱を帯び躁状態に…。
どれもエンターテイメントとして楽しめます。「ウェンディゴ」には自然の闇にひそむ恐怖の源を感じました。「アーニィ卿の再生」では、狂熱を宿したアーニィ卿に、読んでいるこちらのテンションもあがり気味でした。
著者補注追記(20170411)
ブラックウッドはクトゥルー神話の作家でなはない。ウェンディゴもクトゥルー神話体系に入ってるわけではないようだ。クトゥルー神話に影響を与えはしたが。
(成城比丘太郎)
編者補足:(ウェン)ディゴと聞くとブラックジャックの「ディンゴ」というエキノコックスのエピソードを思い出したが、関係ないか。クトゥルフ神話は少なくとも30年前以上前にも流行したが、最近も「這いよれ!ニャル子さん (Ama)
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