・気の弱い刑事と三毛猫が密室殺人に取り組む
・軽妙な文章、抜群の読みやすさ
・落ちは意外とヘビー
オススメ度:★★★★☆
最早、伝説となりつつある赤川次郎の最も著名なシリーズの第1作。初めて読んだのは中一のころ。世の中に推理小説というジャンルがあり、それが「けっこう面白い」ことを最初に私に教えてくれた一冊。しかしオチは重いぞ。
(あらすじ)血を見ると貧血を起こすダメ刑事・片山義太郎は、ある大学で売春グループの捜査を命じられる。しかし、事件は起こり、片山刑事は愛猫となるホームズと出会う。そして事件は更に複雑に展開していく。
当時、余りの軽妙な文章に世のブンダンの皆さんは著者を馬鹿にしたが、読者は馬鹿ではなかった。スラスラ読めて面白い「我輩は猫である」が存在するとしても、まさか推理小説に猫が探偵役で出てくるとは、という意外性。
再読して感じるのは読みやすい文体やプロットの裏で展開される余りに寂しい出会いと別れ。特にラスト、いつも片山を明るく支えるあの人の秘密。中学生にはちょっとヘビーな読後感だったろう。
だが、その毒気こそ、このシリーズを支える元となったのだ。甘いだけのお菓子なら食べたくはない。甘さの中の複雑な苦味。無知蒙昧な中一も、理解不能な感情、喜びと悲しみが同時にやってくる「あれ」を感じて、著者の「幽霊列車(Ama)
こんな重い話を軽く飲み込ませるとは、カルーアミルクの様な恐ろしい一冊。時代設定は古いが、ぜひその後で効いてくる「毒気」に触れてみてはどうだろう?
(きうら)
![]() 三毛猫ホームズの推理 [ 赤川次郎 ] |

