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2016年12月18日

姑獲鳥の夏(京極夏彦/講談社)



・「妖怪」がテーマだが、現実感のあるホラー系ミステリ

・豊富な知識量と筆力に圧倒される。少々難解な所も

・記憶喪失になってもう一度ゼロから読みたい

おススメ度:★★★★★


1994年初版刊行、知名度抜群の一冊で、今さらご紹介するのも気が引けるが、私にとっては思い入れのある作品だ。簡単なあらすじは、終戦後の東京を舞台に「憑き物落とし」と古本屋を生業とする中禅寺秋彦(京極堂)と、友人の根暗な小説家・関口巽が、ある旧家の「20か月も子供を身ごもっていてまだ出産しない女性の謎」に巻き込まれていく、といった内容。

初めて読んだ時は想像を絶する衝撃を受けた。「妖怪(!)」をテーマに、ミステリやホラー的要素を加え、超常現象を科学的に解説するという手法。さらに圧倒的な知識量による衒学的な演出が重なって、このシリーズにのめり込むには十分な内容だった。今でも思うが、京極夏彦氏は只者ではない。ミステリとしては「反則」だと言われているが、その後の作者の活躍ぶりをみると、この作品が傑作であることは間違いない。

傑作であるがゆえにコピーされることも多く、初版から20年以上経った今、批判的に読むことも可能だろう。ただこのジャンルに興味がなく、一度も著者の小説を読んでいないという幸運な読者の方がいれば、ぜひお薦めしたい。最初の「読みにくさ」を突破できれば、目くるめく小説世界が待っている。

ちなみにこのシリーズは「百鬼夜行シリーズ」として、長編9作+外伝的な小説が5作発表さている。完結はしておらず、出版社とのゴタゴタや原発問題で出版されないと噂の最新刊「鵺の碑」を待ちわびてもう10年経った。まだ…諦めてはいない。



 


姑獲鳥の夏 [ 京極夏彦 ]

 






posted by 北川商店 at 10:10| Comment(0) | ★★★★★ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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