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2017年03月15日

無限の住人(沙村広明/KCデラックスアフタヌーン) 〜原作コミックスの概要と映画化についての意見



・不死の肉体を持つ男のアクション時代劇

・緻密な作画とストーリー展開

・スプラッターと言える描写多数。しかもギャグも混在する。

おススメ度:★★★★☆


来月にはひょっとしたらエラい騒ぎになっているかもしれないと思うので「無限の住人」というコミックを紹介してみたい。と言っても連載期間も長く、アニメ化もされているので、ご存知の方も多いと思う。

基本はバトル物の時代劇。プロットは、不死身の体を持ち「100人切り」の異名を持つ卍という男と家族を「逸刀流」という流派に殺された少女・凛が、「逸刀流」への復讐の旅をするというものだが、そういう感じで進むのは最初の5巻くらいで次第に作者の嗜好がはっきりし、豊富な歴史の知識で描く、バトルとスプラッターとギャグが入り混じるという、不思議な作風に変わっていく。

今回の感想を書くのに一気読みしてみたが、途中で一部中だるみすると感じていた部分(不死力解明編・15巻〜20巻)もそれほどでもないし、30巻(旧装丁版)もあるのに、最後が最大に盛り上がるという所が素晴らしい。ラスト10巻くらいの「大ボス戦」の連続は心を揺さぶられる展開だ。

ただ、とにかくほぼ毎回、首が飛んだり腕が飛んだりする展開で、しかも非常にリアルかつ緻密に描かれているので、そういうのが苦手な方は手を出さない方がいいと思う。とにかく「痛い」描写が満載だ。以前に紹介した「ブラッドハーレーの馬車」でも書いたが、無残絵(Wiki閲覧注意)というジャンルに踏み込んでいるのでご注意を。

そこでやっと冒頭に戻ると、「エラいこと」というのは2017年4月には木村拓哉氏主演で実写版が公開されるのである。本予告(公式サイト)を観た感じでは、姿は似ているがストーリーは多分まったくの別物だろう。なんだあの映画「スリーハンドレット」みたいなキャッチコピーは。というか、お読みの方は分かると思うが、原作のストーリーを映画一本にまとめることは絶対に出来ない。どんなに端折っても絶対無理だ。そもそもディティールに魅力のある原作を縮めてどうする。真面目にやったら大河ドラマか連続テレビ小説くらいの尺が必要なはずだ(それらに適当な題材とも思えない)。

まだある。本作の魅力の一つは、逆に笑ってしまうくらい頻繁に起きる人体破壊の描写だ。変態志向と言ってもいい。それをそのまま映画化したら、18禁を食らっても仕方のない内容だ。それが仮にも日本で最も有名なアイドルで映像化できるはずがない。無名の役者ならまだしも「キムタク」がバラバラになる映像が観たいファンがいるのか。疑問だ。

私はバラエティーやドラマは余り観ないので、木村拓哉氏のパーソナリティについては、ほとんど知らない。映画「武士の一分」の主演と「ハウルの動く城」でハウルの声優だったくらいの記憶しかない(ちなみに両方とも良い映画だったと思う)。だから、決してキャストに不満があるわけではない。そもそも企画自体が間違っているのだ。せめて三部作くらいにはできなかったのか……。もしくは別の題名で映画化し(原案:無限の住人)とすべきだ。

なんだか、映画の悪口を書いているだけになってしまったが、予告を観る限り、歴史的悪評を得た「デビルマン」や「テラフォーマーズ」の二の舞になるのではないか。そもそも監督がその「テラフォーマーズ」と一緒だ。

映画には、それに向いた原作と向かない原作がある。

それが今回、言いたかったことだ。もちろん、長大な原作から「ロード・オブ・ザ・リング」といった比較的忠実に映像化された小説もある。漫画原作の実写映画化でも傑作映画は多数ある。でも、断言してもいいが、この「無限の住人」は「有名なアイドル・俳優」で「エンターテイメント映画」にするのは不可能だ。もちろん部分的には可能かもしれない。でも、予告を観る限り、ラスボスがポスターに映っている。やっぱりやめた方がいいと思う。

ただ、こんなことを書いた責任上、一度は観てみるつもりだ。まだ映画本編を観たわけではないので、本当に面白かったらお詫び文を書く。三池崇史監督には謝罪する。いや、むしろお詫び文を書きたい。「よくぞここまで原作ファンの期待を実写で再現してくれた」と。

冷静になろう。素晴らしい傑作だが、色々と独特の癖があるコミックなので、総合評価はあえて★は4にしておきます。





新装版 無限の住人(1) [ 沙村 広明 ]






posted by 北川商店 at 07:51| ★★★★☆ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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