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2017年04月25日

ムーたち(1)(榎本俊二/講談社)



・ナンセンス風だが、(屁)理屈の通ったギャグ漫画(エログロなし)。

・ある家族を中心にした連作短編。

・登場人物の思考や行動に、共感する部分が、ひとつはあるはず。

おススメ度:★★★★☆


「虚山(むなやま)家」の三人家族が、何らかのこだわりを持ったキャラクターと共に織りなす、シュール系のマンガ。主人公の「無夫(ムー夫)」は、無個性な顔つきをしていて、まだ何も知らない無垢(そんな人間はいないが)そうな印象を受ける。一方、父の「実」は丸ハゲで、事あるごとに表情を変え(目、鼻、口が一定しない)、大人としての経験が表れているよう。お母さんは結構魅力的で、それほどムー夫に関わるわけではないですが、要所でいい味を出します。1巻では、父がムー夫に、動物が狩りを教えるように、物事の道理をひねくれた見方で教えていく話が中心です。

父の教えはとても変わっていて、既知のものを見方を変えることで、それを未知のもののように捉えさせるところがあります。例えば、「9話・しりとらず」では、しりとりのルールを逆転させる遊びをします。これは要するに普通に「しりとって」しまうと負けで、相当の集中力を必要とするようです。私はやったことはないですが。その他、父はムー夫と想像の中で旅行をしたり、様々な《教え》をほどこすのですが、どれも遊びのような感覚で行います。この辺りのことは、作中の学校でなされる、先生の授業と比べると面白いです。

「15話・五感食」で、好き嫌いをしないムー夫に言った、父の(屁)理屈はとても良い。好き嫌いを叱る親は多いが、こんな事を言う親はなかなかいないだろうな、といった理屈が繰り広げられます。「28話・ビー・オカルティ」では、「ユーレイ」を怖がるムー夫を諭す時の、父の理論はとてもおそろしい。大体中学生くらいになったら徐々に考え始めるんじゃないだろうか、という理屈が述べられてます。私はそうでした。

「33話・ウェルカム自分」で、もう一人の自分を見つめる自分の存在に気付いたムー夫に、父が、「34話・セカンド自分」で、さらにそれを見つめるもう一つの「セカンド自分」がいることを教えた所で、ムー夫への《教え》は折り返し点を迎える。ここで1巻はほぼ終わる。

この作品には、私が共感するエピソードやキャラクターが多数あります。「26話・挑戦者たち」では、誰もが一度は疑問に思ったことがあるんじゃなかろうか、といったことがビジュアルだけで説明されています。内容は読んでみて下さい。「35話・ミスターそれ以外」は、もってまわったヒネクレ男の話。例えば彼は、国籍を訊かれて、日本以外の全ての国名をあげて、答えにしています。この後彼は、さらに名前を訊かれるのですが、どうなるか書く必要はないでしょう。

そして、一番のキャラクターは、「規理野(きりの)君」でしょう。彼は点や線などの幾何学模様に、何らかの規則性や法則性を見出だそうと日夜奮闘しています。彼のような事を少しでも考えている(偏執的な)人は、私含めているでしょうが、それを徹底するとどうなるかは、2巻でのお楽しみになります。

1話あたり数ページなので、簡単に読めるうえ、内容もそれほど難しいものではありません。我こそはヒネクレ者だ、という人にはうってつけのマンガです。
(成城比丘太郎)


補足)また、知らない本が来た。よく知ってるなぁ……。





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posted by 北川商店 at 00:09| ★★★★☆ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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