
十分有名だと思うのだが、無限回廊というサイトがある。
昔、何気なく読んでいたのを思い出したので、紹介してみたい。
と、言っても紹介は簡単だ。過去、日本であった主な殺人事件の内容をテキストでまとめられているだけである。サイトの構造もシンプルだし、記述そのものも小説ではないので、怖がらせようとするような様子はない。
しかい、これが予想以上にヤバい。事前に事実だと知っているからかもしれないが、とにかく、軽い気持ちで読むのはお勧めできない。私も少し読み返してみたが、頭が痛くなってきた。「津山三十人殺し事件」や「女子高生コンクリ詰め殺人事件」「松本サリン事件」など、事実が羅列されているだけだが、その淡々とした記述に吐き気がする。
私はホラー小説は好きだが、それは恐怖を娯楽や芸術に変換しているからであって、人間の生の残虐性を好んでいるわけではない。「世の中にはこういう怖い側面もあるかも知れない」というのは楽しめるが、「こういう恐ろしいことがあった」というのは少しも楽しめない。だから、戦争の記録や闘病のドラマなども嫌いだ。恐怖はあくまでフィクションの世界に留まっている間だけ美しいのであり、それが顕現してしまえばただただ、醜い。
とにかく、日本の主な残虐事件を俯瞰できるので、ホラー好きな方には一見の価値はあると思うのだが、その辺のホラー小説とは、立ち位置が全く違うので、本気でトラウマになる可能性があるので注意が必要だ。真の意味での閲覧注意という奴だ。
こんなことは考えたこともなかったが、この年になってみると、願わくば全ての殺人事件がフィクションであってほしい。人生は確かにシビアな側面が強いが、それだけに、少しでも、誰かに、そう思わせないような、そんな力がもっとあればいいなと思う。偽善かと思いながら、花粉に苦しみながら、こんなに危険なサイトを紹介しながら、少しだけそう思う。
(きうら)
