
・アイデアに満ちた3Dマリオ新作
・純粋に楽しさを追求
・マリオとは実に30年の付き合い
おススメ度:★★★★☆ファミコン版・ドンキーコングを遊んだのが、小学校3年生だったので、それから約30年間、マリオの出てくるゲームを数年おきに遊んでいることになる。Wii時代の2Dマリオが連発された時は限界を感じたし、スーパーマリオギャラクシーの2は途中で飽きた。では、このオデッセイはどうか。因みにオデッセイは放浪記といった意味があり、ストーリー的にはさらわれたピーチ姫(!)を追って世界中を放浪するというストーリーになっている。
任天堂には東京開発という技術・センスがトップの制作チームがあり、このオデッセイもその精鋭による作品だ。まだ、クリアには至っていないが、遊んでみた感想は、とにかく面白いと思える要素を惜しみなく投入した作品だということ。今回のキモとして、キャプチャーというアクションがあって、簡単に言うと敵に乗り移るのだが、このアクションのおかげで、「ジャンプして敵を踏む」というマリオの基本アクションの幅が劇的に広がっている。乗り移れる対象は多彩で、それぞれの操作も面白い。CMで有名な恐竜やファイヤーボールにさえ乗り移れる。まあよくこんなアイデアを実現したなと感心する。
世界は比較的狭い箱庭だが、仕掛けが満載で、すべて攻略するには結構頭を使う。クリアするだけなら、ほとんどストレスなしに楽しめるのもいい。ライトユーザーにとっては、楽しいテーマパークのアトラクションを遊んでいるような感覚になる。
ストイックなアクションを求める人には一見、不向きに見えるが、隠しコインなどのコンプリートまで考えるといくらでもディープな世界を堪能できるという仕組み。次から次に用意される豪華な仕掛けにひたすら身を任せて楽しむというスタイルでいいだろう。正直ゲームを遊ぶには年齢的に抵抗があるようになってきたが、それでもちょっと遊んでもあっという間に1時間は過ぎてしまう。これぞゲームオブゲーム。コンピューターゲームの原点を見る思いだ。ガチャ頼りのスマホゲームはやはり私の思い描くゲームじゃない。
2Dマリオへのリスペクトも忘れておらず、古いファンにもニヤリとできる演出が盛りだくさん。この辺のさじ加減がうまい。3Dに慣れた小学3年生の娘が2Dマリオのシーンが苦手というのに隔世の感がある。昔はそれしかなかったのだが、これも時代の流れか。
総じてきわめて楽しいゲームだが、一炊の夢のような儚さもある。この楽しさはせいぜい10時間程度のもので、そのあとはまた現実の世界が待っている。華燭の夢も刹那に覚める。私が小学生だったらどんなにかいいかと思う。でも、大人(おっさん)になった今、この美しい幻想世界の向こうに、現実の世界が透けて見えるのも事実だ。
それにしてもSwichのゲームはゼルダと言いマリオと言い、粒ぞろい。あとはポケモン、どうぶつの森、メトロイド、2Dマリオ、ヨッシー、カービーなどで来年はつなぐのだろうか。年末商戦はこれとゼノブレイド2を加えて盤石の任天堂だが、来年以降の展開は気になる。来年の目玉は何に持ってくるのだろうか。ポケモンか、隠し玉があるのか。
ドット絵のマリオからずいぶん長い旅になった。いつかは終わるこの旅はどこまで続くのだろうか。今はこの美しい夢の世界で、ひと時、現実を忘れて楽しんでみたい。
★5にしなかったのは、革新性という意味ではゼルダBoWほどの衝撃がなかったからだが、とにかく楽しいゲームであることは間違いない。全国のサンタさんはこれとスプラトゥーン2かゼルダ、マリオカートでいいのではないかと思う。小学3年の娘と交互に遊ぶのもそれはそれで楽しい体験だ。
ゲームは楽しい。でも少し、私は歳を経てしまったのかも知れない。どこか冷めた目でこの感動を見ている。人生には行き止まりと思える壁が必ずある。これを昇るか諦めるか。そん気分で遊ぶ、複雑な中年のマリオオデッセイ評でした。
(きうら)
